YUKIKO HATTORI Part.2

ヘア&メイクアーティスト服部由紀子さんとの対談第2回目は、仕事への想いやこだわりについてのお話。

ドレスデザイナーとヘア&メイク、生み出すものは異なるけれど、共感できる部分をたくさん発見できました!


小:前回は服部さんが今のお仕事に就いた経緯をお話いただきましたが、仕事に対してとても情熱的な方だということがわかりました。強い信念があるからこそ、ブレない技術を提供していけるんですね。仕事をする上で、どんなことに重きを置いているかが知りたいです。


服:お客様に寄り添うことですかね。ブライダルのヘア&メイクって、技術はもちろん信頼感が大事だと思うんです。だからお客様がどんな人なのか、どのような人生のストーリーを歩んできたのかを徹底的に知ることから始めます。「どんなヘア&メイクがしたい?」という質問以前に、「どんな学生生活を送っていたの?」とか「家族ってどんな人?」とか。一旦お客様の人生に寄り添ってみて、それを踏まえつつ私にできる新しい提案をさせていただくのが私の仕事のスタンス。

お客様とは、最終的にヘア&メイクと客という関係を超えて、友達、さらには家族みたいな気持ちになっていくことが多くて。だからいろんな話をしてほしいし、ワガママもたくさん言ってくれてOK。それを叶えるのが私の喜びでもあるんです。ちなみに小脇さんはどうですか?


小:私がデザインしている『heureux de Misato Kowaki』のドレスは、どんな人が着てもきれいに見えることを重視しています。ドレスブランドのカタログやウエディング雑誌ではスタイルのいいモデルを起用しているから、どんなドレスでも素敵に見えるのは当たり前。ですが実際に着る花嫁さんは、みんながみんなスタイルがいいわけではありません。だからこそ体形補正やカバーの効果があるデザインにはとことんこだわっていますね。例えば腰位置を高く設定して脚を長く見せたり。体形にコンプレックスのある人ほど『heureux de Misato Kowaki』のドレスを着てほしいと思っています。

服:どんな人でもきれいに見える“美”を提供するということ、すごく共感できます。私もそれは常に考えていますね。今、ウエディングで使用するヘッドドレスなどのアクセサリーのデザインもやっているのですが、そのきっかけになったのも、すべての人が美しくあってほしいという願いからなんです。


小:アクセサリーのデザインもしているんですか? すごい! きっかけになった出来事、ぜひ教えてください。

服:結婚式場で働いていたときに、髪の毛が生まれつき生えない方を担当する機会があって。普段はウィッグで生活をしているんですが、その方を結婚式でどのように輝かせるか考えていた中で、アレンジするよりヘッドドレスで美しく見せることを思いつきました。それを提案したところすごく喜んでくれ、当日も素敵な笑顔で式を終えることができて。その経験から、ヘアセットの一環として、アクセサリーも重要な存在だと気がついたんです。と同時に、もっとこういうアクセサリーがあればドレスがより美しく見えるのに…と、どんどん欲がわいてきて(笑)。だったら自分でデザインしちゃおうと思って始めたんですよね。

小:すごく素敵なヘッドドレス! 「だったら自分でデザインしちゃおう」っていうのが、まさに私と同じ考え(笑)。私も『heureux de Misato Kowaki』のデザインを始めるきっかけになったのが、自分の結婚式で着たいドレスがなかったことなんです。世の中にはたくさんドレスがあるけれど、自分が着たいものに巡り合えないのはなんでだろうと。きっと多くの女性が同じ悩みを持っているはずだと思って、たくさんの人に「着たい」と思ってもらえるドレスをつくろうと思ったんですよね。


服:まさに同じですね(笑)。同じ想いを持つ女性が同じ業界にいるというのは、すごく心強いです。この業界は、まだまだ古い考え方が残っている業界とも言えます。新しい感性で、もっともっと花嫁さんを素敵に、そして一生記憶に残るウエディングをつくっていきたいって改めて思いました!


次回の対談は、クリエイティブな仕事の源を支えるアイディアソースについて、お話を伺いました。実はウエディングとはまったく関係ないあるものからインスパイアされている…なんていうおもしろいお話も登場するので、楽しみにしていてくださいね!